日本の再生可能エネルギーによる発電量の総発電量に対する割合は14.5%(2019年度)で、世界ランキングでは49位に当たり、導入が遅れています。
この割合を2030年には36~38%に高めて、再エネを主力電源化する計画です。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーとは、太陽光などの自然力を利用するエネルギーです。
その主要な5種類は、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電です。
再生可能エネルギーのメリット
再生可能エネルギーの最大のメリットは、化石燃料によるエネルギーとは違って、CO2などの温室効果ガスを出さないことです。
このため、2050年、脱炭素実現を目指す日本では、再生可能エネルギーを主力電源とすることを何より重視しています。
脱炭素とは、人為起源の二酸化炭素(CO2)の排出量と植物などによる吸収量を等しくさせて、人為起源のCO2の排出を実質ゼロにすることです。世界各国と肩を並べて、日本政府も「2050年までに脱炭素を実現すること」を宣言して、これに向けた取組を[…]
日本における再生可能エネルギーの現状
日本における現在の再生可能エネルギーの導入状況を見てみましょう。
現在の発電量の割合
再生可能エネルギーによる発電量の、その年の総発電量に対する割合を見ます。
- 2020年度の再エネの発電量(水力発電を含む)は1983億kWhで、総発電量に対する割合は19.8%です。
- 2019年度の再エネの発電量(水力発電を含まない)は1431億kWhで、総発電量に対する割合は14.5%です。
この割合は世界ランキングでは49位に当たり、7位のドイツ(40.0%)、8位のイギリス(38.4%)に比べて遅れています。
遅れている理由として、発電コストが高いこと、設備を設置するコストも高いこと、島国のため、外国との電力のネットワークが未構築であること、などが挙げられています。
現在の導入量
導入量として、設備の発電能力を表す設備容量を見ます。
2020年度の累積設備容量は121.7GW(G[ギガ]=10の9乗)です。
2018年度の累積設備容量は114GWで、世界ランキングでは、中国(730GW)、米国(280GW)、ブラジル(134GW)、ドイツ(126GW)、インド(123GW)に次いで6位に当たります。
日本の再生可能エネルギー、現在までの歩み
日本における再生可能エネルギーの現在までの歩みを振り返ってみます。
FIT制度
FIT(Feed-in Tariff)制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が国の定めた一定価格で買い取ることを義務付ける制度で、2012年に導入されました。この制度の対象は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5種類です。
電力会社が買い取る費用の一部は賦課金として、電気料金に上乗せされる仕組みです。
FIT制度の導入によって、再生可能エネルギーの導入は確かに促進されています。
発電割合の推移
再生可能エネルギーの発電量(水力発電を含む)が総発電量に対して占める割合は、下記の通り推移しており、FIT制度の効果を示しています。
- 2011年度:10.4%
- 2019年度:18.1%
- 2020年度:19.4%
累積導入量の推移
再生可能エネルギーの累積設備容量も下記の通り推移しており、やはりFIT制度の効果を示しています。
- 2012年6月:20.6GW
- 2018年度:114GW
- 2020年度:121.7GW
日本における再生可能エネルギーの将来計画
第6次エネルギー基本計画が2021年10月、閣議で決定されました。
ここに盛り込まれている再生可能エネルギーの将来計画を見てみます。
2030年に向けた再生可能エネルギー導入の目標
第6次エネルギー基本計画で定められた2030年のエネルギーミックスでは、以下の通り目標が掲げられ、再エネの主力電源化を目指しています。
- 再生可能エネルギーの発電量の割合:36~38%
- 発電量:3360~3530億KWh
- 累積設備容量:187.8~201.8GW
今後の再生可能エネルギー導入に向けた取り組み
再エネの最大限の導入に向けて、次の3つの観点が取り上げられています。
- 第6次エネルギー計画で提唱されている施策の具体化
- 民間投資を活かした様々な再エネ導入モデルの拡大
- 国民の負担の抑制
世界の再生可能エネルギーとの比較
再生可能エネルギーの発電割合と発電量の世界ランキングにおいて、日本がどんな位置にあるか、見てみましょう。
世界の再生可能エネルギー、発電割合ランキング
再生可能エネルギーによる発電量が、その国の総発電量に対して占める割合のランキングです。
2019年の水力発電を含まないデータです。
引用元:世界の再生可能エネルギー発電割合 国別ランキング・推移 – GLOBAL NOTE
順位 国名 割合(%) 1 デンマーク 81.85 2 リトアニア 77.33 3 ケニア 58.84 4 ニカラグア 51.16 5 ウルグアイ 48.67 6 エルサルバドル 46.96 7 ドイツ 39.99 8 イギリス 38.42 9 アイルランド 37.51 10 ポルトガル 37.36 49 日本 14.54 57 米国 11.75 62 中国 10.40
発電量では上位にいる中国(1位)、米国(2位)、日本(5位)が、発電割合の順位ではこんなに下位になってしまうのは、総発電量(エネルギー消費量)が極めて大きいためです。
世界の再生可能エネルギー、発電量ランキング
再生可能エネルギーによる発電量そのもののランキングです。
2019年の水力発電を含まないデータです。
引用元:世界の再生可能エネルギー発電量 国別ランキング・推移(EIA) – GLOBAL NOTE
順位 国名 発電量(TWh)(T[テラ]=10の12乗) 1 中国 751.41 2 米国 489.09 3 ドイツ 230.94 4 インド 153.11 5 日本 143.11 6 イギリス 119.00 7 ブラジル 116.49 8 スペイン 77.45 9 イタリア 72.63 10 フランス 59.16
発電量そのものでは、日本は5位と上位を占めています。
まとめ
以上に述べて来たことの要点をまとめます。
- 再生可能エネルギーの最大のメリットは、温室効果ガスを出さないことです。
- 2019年度における日本の再エネ発電量の総発電量に対する割合は14.5%で、世界ランキングで49位です。日本の再エネ導入は、7位のドイツや8位のイギリスに比べて遅れています。
- 2012年のFIT制度の導入により、再エネ導入は促進されました。
- 第6次エネルギー基本計画における2030年のエネルギーミックスでは、再エネの発電量の割合を36~38%とし、再エネの主力電源化を目指しています。
日本における現在(2020年)の太陽光発電の電力量は総電力量の7.9%を占めています。政府は2030年度の目標として14-16%を掲げています。 2019年までの累積導入量(設備容量)は世界第3位の位置を占めています。 […]
参考文献
- 資源エネルギー庁「なっとく再生可能エネルギー」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html - 資源エネルギー庁「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/070_01_00.pdf - 資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/040_01_00.pdf - グローバルノート「世界の再生可能エネルギー発電割合 国別ランキング・推移」
https://www.globalnote.jp/post-4908.html - グロ-バルノート「世界の再生可能エネルギー発電量 国別ランキング・推移」
https://www.globalnote.jp/post-4903.html