日本における太陽光発電の現状と将来、世界との比較も解説

日本における現在(2020年)の太陽光発電の電力量は総電力量の7.9%を占めています。政府は2030年度の目標として14-16%を掲げています。

2019年までの累積導入量(設備容量)は世界第3位の位置を占めています。

太陽光発電とは

太陽光発電とは

この記事のテーマは日本における太陽光発電の現状と将来計画ですが、まずは太陽光発電そのものについてご説明します。

太陽光発電の仕組み

再生可能エネルギーの一つ、太陽光発電は太陽の光のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。

マイナスの電荷を持つ電子を発生するN型半導体と、プラスの電荷を持つホール(電子の抜け穴)を発生するP型半導体を接合したPN接合部分に太陽光が当たると、P型部分はプラス、N型部分はマイナスに帯電し、両端に発生する電位差によって電流を流す仕組みです。

太陽光発電のメリット

太陽光発電には次の様なメリットがあります。

  • CO2を全く発生しない。
  • エネルギー源の太陽光は無くなることがない。
  • 送電設備の無い遠隔地でも利用できる。

太陽光発電のデメリット

太陽光発電には次の様なデメリットもあります。

  • 晴天の昼の時間帯しか発電できないため、安定な電力を供給するには蓄電池と併用する必要がある。
  • 大規模の発電には広大な用地が必要になり、緑地を侵食する。

日本における太陽光発電導入の現状と将来計画

日本における太陽光発電導入の現状と将来計画

日本における太陽光発電の導入の状況と今後に向けた政府の政策を見て行きます。

日本における太陽光発電の歩み

日本における太陽光発電導入の現在までの歩みを振り返ってみます。

現在の導入量

2020年度における太陽光発電の電力量は791億kWh、発電能力を表す設備容量は61.6GWです。

発電電力量は再生可能エネルギー全体の値が1983億kWhで総電力量の19.8%に当たり、太陽光発電は総電力量の7.9%で、再エネの中で第1位の座を占めています。

導入量の推移

太陽光発電の累計導入量(設備容量)の推移を見ると、以下のように2012年度から、急激な伸びを示しています。

  • 2010年度:3.9GW
  • 2012年度:9.1GW
  • 2014年度:26.9GW
  • 2016年度:42.3GW

導入量が増えた理由:FIT(固定価格買取制度)

太陽光発電の導入量が増えた理由として、FIT(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)という制度が2012年に導入されたことが挙げられます。

これは太陽光で発電した電力を電力会社が、国が定めた価格で買い取ることを義務付ける制度です。

今後の太陽光発電政策

資源エネルギー庁のホームページ(2018年度)には、再生可能エネルギー全体が日本の電源構成に占める割合が2017年度現在で約16%と低い水準にあり、2030年度のエネルギーミックスでは、この割合を22~24%にしたい、と記載されています。

2021年10月、第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました。これによると、2030年度のエネルギーミックスにおいて再生可能エネルギー全体の占める割合を36-38%(発電電力量:3360-3530億kWh)とする、という野心的な目標を掲げています。

太陽光発電の占める割合は14-16%程度(設備容量:104~118GW、発電電力量:1290~1460億kWh)とされています。

近年、再生可能エネルギーの普及に向けて、太陽光発電・蓄電池の経済効果シミュレーションサービスを提供している企業もあります。

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世界における太陽光発電導入の状況

世界における太陽光発電導入の状況

日本の太陽光発電の導入を世界全体の動きと比較してみましょう。

世界における太陽光発電の累積導入量ランキング

IEA(International Energy Agency、国際エネルギー機関)の発表による、2019年までの累積導入量の第1位~第10位までのランキングは次の通りです。

順位国名導入量(設備容量)
1位中国204.7GW
2位アメリカ 75.9GW
3位日本 63.0GW
4位ドイツ 49.2GW
5位インド 42.8GW
6位イタリア 20.8GW
7位オーストラリア 14.6GW
8位イギリス 13.3GW
9位韓国 11.2GW
10位 フランス9.9GW
引用元:Snapshot of Global PV Markets – 2020

上の結果を見て分かる通り、日本は再エネ全体の導入量の点では遅れていますが、太陽光発電の導入量の点では進んでいて、世界で第3位の位置にあります。

世界における太陽光発電の年間導入量ランキング

次に2019年の1年間に新たに導入された太陽光発電の設備容量の第1位~第10位までのランキングを見て見ましょう。

順位国名導入量(設備容量)
1位中国30.1GW
2位アメリカ13.3GW
3位インド9.9GW
4位日本7.0GW
5位ベトナム4.8GW
6位スペイン4.4GW
7位ドイツ3.9GW
8位オーストラリア3.7GW
9位ウクライナ3.5GW
10位韓国3.1GW
引用元:Snapshot of Global PV Markets – 2020

2019年の1年間の新規導入量の点でも、日本は世界第4位の位置を占めており、決して遅れてはいません。

まとめ

以上に述べて来たことの要点をまとめます。

  • 太陽光発電とは、太陽の光のエネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みです。
  • 日本における太陽光発電の現在(2020年)の電力量は791億kWhで、総電力量の7.9%に当たります。
  • 現在のエネルギー基本計画では、2030年度において、総電力量に対して再生可能エネルギー全体は36-38%、太陽光発電は14-16%の割合を占める、という目標が掲げられています。
  • 2019年までの太陽光発電の累積導入量の世界ランキングにおいて、日本は中国、アメリカに次いで第3位の位置を占めています。
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参考文献