地球温暖化対策で注目を浴びるブルーカーボンとは

地球温暖化対策として世界各国が大気中のCO2排出削減に取り組む中で、ブルーカーボンの高いCO2吸収能力に大きな期待がかけられています。

ブルーカーボンのメリットはCO2の吸収量が大きく、長期間炭素を貯留して再放出しないこと、CO2の吸収と貯留を自然作用として行うことです。

地球温暖化対策にブルーカーボンを活用する取り組みは、国土交通省、福岡市や静岡市、日本製鉄などで行われています。

地球温暖化対策におけるブルーカーボンの役割

今や地球温暖化対策は全世界の緊急課題です。パリ協定では、21世紀の後半には温室効果ガスの排出と吸収を差し引きゼロにする、と取り決めています。

今や地球温暖化対策は全世界の緊急課題です。パリ協定では、21世紀の後半には温室効果ガスの排出と吸収を差し引きゼロにする、と取り決めています。

それに向けて世界の諸国で温室効果ガスのNo.1、大気中の二酸化炭素(CO2)の排出削減に向けた取り組みが行われています。

このCO2の削減に大きな役割を期待されているのが「ブルーカーボン」です。

海底に蓄えられた炭素、ブルーカーボン

ブルーカーボンとは海藻などの海洋生物が大気中の二酸化炭素を原料として、光合成反応により作り出した有機炭素化合物が海底に蓄えられたものです。

ブルーカーボンを作り出す海洋生物、ブルーカーボン生態系は、海草藻場(うみくさもば)、海藻(うみも)藻場、干潟、マングローブ林などに生育しています。

ブルーカーボンの代表、マングローブ林(奄美大島)
ブルーカーボンの代表、奄美大島のマングローブ林

極めて高いブルーカーボン生態系のCO2吸収能力

ブルーカーボンはCO2の削減に大きな役割を果たします。それはブルーカーボン生態系が極めて高い二酸化炭素の吸収能力を持っているからです。人類をはじめ地球上の生物が大気中に排出する二酸化炭素の約30%を吸収すると言われています。

地球温暖化対策にブルーカーボンを活用する3つのメリット

  1. ブルーカーボンの特徴は大気中から回収した炭素を海底に閉じ込めてしまい、再び大気中に戻さないことです。この意味でブルーカーボンの働きはカーボンリサイクルの中でネガティブ・エミッション(マイナスの放出)と位置付けられています。
  2. ブルーカーボンが貯留されている浅瀬の海底の泥は無酸素状態のためにバクテリアによって分解されず数千年という長期間にわたり安定に貯留されます。
  3. ブルーカーボンによる大気中のCO2の回収と貯留はブルーカーボン生態系の自然作用によって行われるため、人がエネルギーやコストを投入する必要はありません。

ブルーカーボンに関する2つの課題

  1. ブルーカーボン生態系の優れたCO2吸収能力が知られたのは、たった10年ほど前のことです。そのために、ブルーカーボンについては未知の事柄が多く、クレジット化もあまり進んでいません。
  2. 沿岸の開発やゴミ投棄のために、現在ブルーカーボン生態系の破壊が急速に進んでいます。

地球温暖化対策にブルーカーボンを活用する取り組み

地球温暖化対策にブルーカーボンを活用する取り組み

「ブルーカーボン」という名前は、2009年10月、国連環境計画の報告書の中で、新たに登場した有望なCO2吸収源として命名されたものです。これは、陸上の植物がCO2を吸収して作る「グリーンカーボン」に対比して付けられた名前です。以来、世界の各国、特に米国やオーストラリアなどで、地球温暖化対策にブルーカーボンを活用する取り組みが進められています。以下に日本国内の取り組みをご紹介します。

国土交通省によるブルーカーボン活用の取り組み

国土交通省は2019年6月、有識者と関係省庁で構成される「地球温暖化防止に貢献するブル—カーボンの役割に関する検討会」を立ち上げました。この時の議題は、「地球温暖化とパリ協定」、「ブルーカーボンを巡る最近の動向」、「CO2吸収量の計測・推計に向けた検討の方向性」などです。

2020年9月開催の同検討会の議題は、「我が国の温室効果ガス削減目標への反映に向けて」、「ブルーカーボン生態系の活用に向けた取り組み」、「ブルーカーボンの普及・啓発」などです。

2021年10月開催の同検討会の議題は、「昨年度の検討結果と今年度の検討内容」、「ブルーカーボンのイベントリ、NDC(Nationally Determined Contributions=国が 決定する貢献)への組込みに向けて」、「ブルーカーボン・オフセット・クレジット制度の試行」などです。

地方自治体によるブルーカーボン活用の取り組み

福岡市では「福岡市博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」を設け、博多湾のアマモなどの藻場が吸収・固定したCO2量をクレジット化して販売しています。

横浜市では「横浜ブルーカーボン事業」を立ち上げ、沿岸でワカメを養殖して、独自のカーボン・オフセットに取り組んでいます。

民間によるブルーカーボン活用の取り組み

2017年に専門家、関係団体などで構成された「ブルーカーボン研究会」が設立され、翌年3月、日本における2030年のCO2吸収量の見込み試算を発表しました。

日本製鉄では鉄鋼製造の副産物であるスラグから作られた肥料を用いて、北海道などで藻場の再生に取り組んでいます。

まとめ

以上に述べて来たことの要点をまとめます。

  1. 地球温暖化対策として世界各国が大気中の二酸化炭素の排出削減に取り組んでいます
  2. 大気中のCO2の削減にブルーカーボン(海洋植物がCO2から作った有機炭素化合物が海底に貯留されたもの)が大きな役割を期待されています
  3. ブルーカーボンのメリットは、炭素を長期間海底に閉じ込め、大気中に再放出しないこと、CO2の吸収・貯留に人がエネルギーやコストを投入する必要がないこと、です
  4. 地球温暖化対策にブルーカーボンを活用する取り組みは、国土交通省(2019年に検討会を立ち上げ)、横浜市や福岡市(ブルーカーボンのクレジット化)、日本製鉄(藻場の再生)

などで行われています。

参考文献