熱海におけるブルーカーボンに関する事業、取組事例を紹介します

熱海の「未来創造部」という会社が、この地にブルーカーボン・プロジェクトを立ち上げました。この会社が設立の際に目標として掲げたのは「未来の子どもたちにきれいで楽しい地球を残したい」ということです。
この熱海ブルーカーボン・プロジェクトの具体的な取り組みをご紹介します。

熱海の会社「未来創造部」がブルーカーボン・プロジェクトを立ち上げ

熱海の環境まちづくり会社「株式会社 未来創造部」が、2020年にこの地でブルーカーボン・プロジェクトを立ち上げました。

ブルーカーボンとは何でしょうか?
また、「未来創造部」という会社は、どんな会社でしょうか?

ブルーカーボンは優れたCO2吸収源

ブルーカーボンとは、海藻などの海洋植物が大気中から海水に溶けた二酸化炭素(CO2)を吸収して、光合成反応によって作り出す有機炭素化合物です。

ブルーカーボンを作り出す海洋植物をブルーカーボン生態系と言います。ブルーカーボン生態系の生育する場所は、日本近海では藻場(もば)が主要な位置を占めます。藻場にはアマモなどの海草(うみくさ)藻場と、ワカメ、コンブ、アラメ、カジメ、ガラモなどの海藻(かいそう)藻場があります。
ブルーカーボン生態系のCO2吸収能力は極めて高く、年間、人為起源のCO2排出量の約30%を吸収すると言われています。

またブルーカーボンは浅い海底の泥の中に貯留されますが、ここは無酸素状態のためバクテリアによる分解を免れ、貯留期間は数千年という長期間に渉ります。
この2つの特徴により、ブルーカーボンは温暖化対策として脱炭素を目指す現代社会において、優れたCO2吸収源として大いに注目されています。

関連記事

ブルーカーボンとは、海洋生物の作用により海洋環境に貯留された炭素のことです。 植物は光合成により二酸化炭素を吸収し、炭素を隔離します。陸上の生物が隔離し貯える炭素をグリーンカーボンと呼ぶのに対し、海の生物の作用により貯えられる炭素を[…]

「未来創造部」という会社

熱海でブルーカーボン・プロジェクトを立ち上げたのは「株式会社 未来創造部」という会社です。
この会社は「未来の子どもたちにきれいで楽しい地球を残したい」という目標を掲げて、2020年9月に熱海の海岸の近くのビルの1F~3Fを拠点として設立されました。
この会社は、上記の目標を実現するために次のようなプロジェクトを推進しています。

  • ブルーエコノミー・プロジェクト:持続可能な海洋経済活動(ブルーカーボン・プロジェクトも含む)
  • プラキャッチプロジェクト:プラスチックごみの捕獲、回収、処理
  • 「もったいないをカタチに」するプロジェクト:ゴミの削減

この他にもいくつかのプロジェクトがあります。

熱海のブルーカーボン・プロジェクトの4つの取り組み

熱海のブルーカーボン・プロジェクトの4つの取り組み

未来創造部という会社が立ち上げた、熱海のブルーカーボン・プロジェクトで行われている具体的な取り組みを4つ、ご紹介します。

ブルーカーボンネットワークを構築する

株式会社未来創造部は2021年12月、任意団体「ブルーカーボン・ネットワーク」を設立しました。この団体が行う活動には次のものがあります。

  • 国内、国外におけるブルーカーボンや藻場再生の取り組みについての情報の共有と支援
  • 気候変動や海の生態系についての情報の共有
  • ブルーカーボン・クレジットやブルーファイナンスについての情報の共有
  • ウェブサイトやセミナーを通じての情報発信。情報共有、支援の場の創造
  • 活動に必要な支援金の募集(クラウド・ファンディングの実施)

次世代に豊かな海をつなぐための、いろいろな取り組み

小中学校の生徒を対象に豊かな海を作るための、次のような体験プログラムを実施しています。

海草のコアマモの再生プログラム

静岡県伊豆市の土肥海水浴場で除去される予定のコアマモを採って来て、熱海周辺の海域の砂地に移植し、生育状況を観察しました。

海藻のカジメの再生プログラム

磯焼けのためにカジメが無くなった海にカジメを再生させるプログラムです。カジメの胞子(遊走子)を種糸に付着させて採取し、ある程度、陸上で育ててから海に移植する実験プログラムです。

情報発信のため、ウェブサイトを構築する

2021年12月、ウェブサイト「ブルーカーボン.jp」(https://bluecarbon.jp/)を立ち上げました。

このサイトを使って、ブルーカーボンについての基礎的な情報、また国内、国外のブルーカーボンのいろいろな取り組み、これらの取り組みを進めて行く上で参考になる技術や支援制度についての調査、インタビューなどをお伝えして行きます。

ブルーカーボン.jp

海草や海藻は生長する際に、海の中で二酸化炭素を吸収します。この海洋生態系に蓄積される炭素が「ブルーカーボン」です。ブルー…

シンポジウム・セミナー、現地見学会などを開催する

ブルーカーボン生態系が生育する場所、藻場の保全の大切さ、その他ブルーカーボンについて、多くの方々に知っていただき、活動に参加や支援をしていただくために、シンポジウム・セミナー、現地見学会などを開催する啓発活動をしています。
2021年11月3日には「ブルーカーボンネットワーク設立記念シンポジウム」を開催しました。

まとめ

以上に述べて来たことの要点をまとめます。

  • 熱海の「未来創造部」という会社が、この地でブルーカーボン・プロジェクトを立ち上げました。
  • ブルーカーボンとは海洋植物が二酸化炭素を吸収して作り出す有機炭素化合物です。これは優れたCO2吸収源として注目されています。
  • 未来創造部という会社は「未来の子どもたちにきれいで楽しい地球を残したい」という目標を掲げて、いろいろなプロジェクトを推進しています。
  • 熱海のブルーカーボン・プロジェクトの取り組みには、ブルーカーボンネットワークの構築、次世代へ豊かな海をつなぐ取り組み、情報発信のためのウェブサイトの構築、シンポジウム・セミナー、現地見学会の開催などがあります。
関連記事

ブルーカーボンが優れたCO2吸収源として注目される理由は次の3つの特徴を持つからです。 CO2吸収能力が極めて高いこと長期間、海底に貯留され、大気中にCO2を再放出しないことCO2の吸収・貯留を自然作用で行うこと ブルーカーボ[…]

参考文献