横浜ブルーカーボン事業の取り組み事例を徹底解説

横浜市は2011年度に温暖化対策プロジェクトとして「横浜ブルーカーボン」を立ち上げました。このプロジェクトの目的、枠組み、そして具体的な取り組み事例を詳しくご紹介します。

横浜ブルーカーボン事業の目的と枠組み

横浜市は2011年度に温暖化対策プロジェクト「横浜ブルーカーボン」を立ち上げました。
先ず、このプロジェクトの目的と基本的な枠組みについて、ご説明します。
その後で、このプロジェクトで、どんな取り組みが行われているか、その具体的な取り組み事例を詳しくご紹介します。

ブルーカーボンは優れたCO2吸収源

ブルーカーボンとは海藻などの海洋植物が大気中から海水に溶けた二酸化炭素(CO2)を吸収して、光合成反応で作る有機炭素化合物です。

ブルーカーボンを作る海洋植物、ブルーカーボン生態系のCO2吸収能力は極めて高く、またブルーカーボンが海底の泥の中に貯留される期間は極めて長い、という特徴があります。
この特徴により、地球温暖化対策として脱炭素を目指す現代社会において、ブルーカーボンは優れたCO2吸収源として大いに注目を集めています。

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横浜ブルーカーボン事業の目的

「横浜ブルーカーボン」というプロジェクトの目的は単に温暖化対策だけではなく、「環境(海洋)」、「社会(市民)」、「経済(企業、地域産業、観光など)」に好循環をもたらすことにより、市民生活の質が向上することを目指しています。具体的に言うと、環境面では温暖化防止、水質浄化、社会面では快適性の増加、経済面では資源、食料の供給の増加、観光客の増加などを指向しています。

横浜ブルーカーボン事業の3つの枠組み

「横浜ブルーカーボン」というプロジェクトは、次の3つを基本的な枠組みとしています。
すなわち次の3つです。

  1. ブルーカーボン
  2. ブルーリソース
  3. 親しみやすい海づくり

「ブルーリソース」とは海洋エネルギーや海産物、海洋バイオマスなど、海から得られる豊かな海洋資源を指します。ブルーカーボンやブルーリソースを活用してCO2を削減し、その取り組みを通して人と海との親しい関係を築くことを枠組みとしているわけです。

横浜ブルーカーボン事業の取り組み事例

「横浜ブルーカーボン」というプロジェクトにおいては、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか?
これから、その取り組み事例を詳しくご紹介します。

横浜ブルーカーボン・オフセット制度

カーボン・オフセットとは、自分がやむを得ず排出した二酸化炭素の量を、他所で行われたCO2排出削減やCO2の吸収の取り組みを利用して埋め合わせることです。埋め合わせは、そのCO2削減や吸収の取り組みを認証して発行されたクレジットを購入することによって行われます。

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横浜ブルーカーボン・オフセット制度においては、横浜市独自のクレジット認証を行っています。
2020年度に認証されたブルーリソースによるクレジットとして「ワカメの地産地消によるCO2削減事業」があります。

同年度に認証されたブルーカーボンによるクレジットとしては、

  • 横浜市域における養殖コンブの温室効果ガスの吸収・固定
  • 横浜市域における養殖ワカメの温室効果ガスの吸収・固定
  • 阪南市でのワカメ養殖によるブルーカーボン

の3つがあります。

横浜ブルーカーボン・オフセットマークの利用

横浜ブルーカーボンでは、この事業のPRのために「横浜ブルーカーボン・オフセットマーク」というものを作成しています。
横浜ブルーカーボン事業に協力する意思のある個人、企業、団体に対してこのマークの利用を呼び掛けています。例えばポスターにこのマークを掲示する、あるいは、温暖化対策や環境保全活動などへの寄附を目的として、このマークを貼付した商品を販売する、などの利用の仕方があります。

イベント・会議

ブルーカーボン・シンポジウムin横浜

横浜ブルーカーボン」について横浜市民の皆さんの理解を深めるため、また世界にこの事業に関する情報を発信するために2013年より毎年1回、このシンポジウムを開催しています。

横浜・八景島シーパラダイスでの環境啓発

株式会社横浜八景島と協働して、夏休みに子供たちが海に関する体験をするイベントを開催しています。

トライアスロン大会におけるブース出展

世界トライアスロン横浜大会などのトライアスロン大会にブースを出展して事業PRや啓発活動を行っています。

ブルーカーボンの測定

ブルーカーボンの優れたCO2吸収源としての特性が認識されるようになったのは十数年前のことです。従って、例えばブルーカーボンのCO2吸収能力などの精密なデータの蓄積は、世界的に見てもまだ不十分な段階にあります。
この現状を踏まえ、横浜ブルーカーボンの取り組みとして、横浜市の海の公園に生育するアマモ藻場のCO2吸収・削減量の定量的な測定が行われました。

また、海の公園の公園管理区域に生育するアマモの現存量を知るために、アマモ藻場の面積調査、及び単位面積当たりの質量調査も行われました。

まとめ

以上に述べて来たことの要点をまとめます。

  • 横浜市は2011年度に地球温暖化対策プロジェクトとして「横浜ブルーカーボン」を立ち上げました。
  • ブルーカーボンとは、海洋植物がCO2を吸収して作り出す有機炭素化合物で、優れたCO2吸収源として注目されています。
  • 横浜ブルーカーボンの取り組み事例としては、横浜ブルーカーボン・オフセット制度、ブルーカーボン・シンポジウムなどのイベント・会議、ブルーカーボンの測定、などがあります。
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参考文献