カーボンオフセットとは何か?意味、方法、事例をわかりやすく解説

カーボンオフセットとは、自分が行った二酸化炭素の排出を、他の場所で行われるCO2削減活動を利用して埋め合わせることです。
カーボンオフセットが必要な理由は地球温暖化対策にあります。オフセットの方法には、CO2削減活動への参加・投資とクレジットの購入の2つがあります。クレジットとは、CO2削減活動で実現した削減量に料金を付けて販売するものです。カーボンオフセットの事例には、ブル—カーボンに関わるものと、グリーンカーボンに関わるものなどがあります。

カーボンオフセットとは、CO2排出の埋め合わせ

カーボンオフセットとは、CO2排出の埋め合わせ

最近「カーボンオフセット」という言葉をよく耳にします。この言葉の意味は何でしょうか?
カーボンオフセットのカーボン(Carbon)は「炭素」を意味しますが、ここでは二酸化炭素(CO2)を指しています。またオフセット(Offset)は「埋め合わせる」という意味です。
つまりカーボンオフセットとは「やむを得ず行ったCO2の排出を、他の場所でのCO2削減活動を利用して埋め合わせる」という意味です。

なぜカーボンオフセットが必要なの?:地球温暖化対策

なぜ二酸化炭素の排出を埋め合わせなければならないのでしょうか?その理由は地球温暖化対策にあります。

地球温暖化危機

世界の平均気温は工業化が完了する以前(1850〜1900年)に比べて、2017年時点で約1℃上昇しています。この傾向は現在も進行中です。
もし、このまま放置して、工業化完了以前に比べて2℃以上の上昇を許すと、地球上の全生物の存続を脅かす危機が訪れます。これは何としても回避しなければなりません。
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に掲げられている、2030年までに達成すべき17の目標の一つにも「気候変動に具体的な対策を」という項目が加え
られています。

温室効果ガスの主成分はCO2

地球温暖化をもたらす温室効果ガスの主成分は二酸化炭素です。そして大気中のCO2は人為起源の排出のために今も増え続けています。
従って地球温暖化を食い止めるためには、CO2排出量を削減して脱炭素社会を目指す取り組みが是非とも必要になるのです。

どうやって埋め合わせるの?オフセットの2つの方法

どうやって埋め合わせるの?オフセットの2つの方法

やむを得ず排出したCO2を埋め合わせるには2つの方法があります。

オフセット①CO2削減事業に参加・投資

植林などのCO2削減事業に自ら参加する、またはそれに投資するという方法です。

オフセット②クレジットの購入

クレジットというものを購入して、他の場所で行われているCO2の排出削減や吸収促進、人工的な炭素回収などの事業に資金援助をする方法です。
クレジットとは、CO2の排出削減や吸収促進の事業を行っている主体が発行する削減量や吸収量の証明で、これに料金を付けて販売されるものです。
国や企業が行うオフセットは主にこの方法で行われます。

環境省のガイドラインが掲げる5つの主な取り組み

環境省のカーボン・オフセットガイドラインには主な取り組みとして次の5つが掲げられています。

環境省のガイドライン①オフセット製品・サービス

製品の製造や販売、サービスの提供の過程で発生するCO2の排出量を埋め合わせる取り組みです。

環境省のガイドライン②会議・イベントのオフセット

コンサートや国際会議などのイベントの開催の過程で発生するCO2の排出量を、その主催者が埋め合わせる取り組みです。

環境省のガイドライン③自己活動オフセット

組織の事業活動などの自己活動の過程で発生するCO2の排出量を埋め合わせる取り組みです。

環境省のガイドライン④クレジット付製品・サービス

製品、サービスの提供者やイベントの主催者が、製品やチケットにクレジットを付けて売り、購入者が日常生活において排出するCO2の埋め合わせを支援する取り組みです。

環境省のガイドライン⑤寄付型オフセット

製品やサービスの提供者が、消費者に呼び掛けて参加者を募り、クレジットを購入してCO2削減活動に資金提供をする取り組みです。

カーボンオフセットの3つの取り組み事例

カーボンオフセットの3つの取り組み事例

以下にブルーカーボンに関わる2つの取り組み事例と、グリーンカーボンに関わる1つの取り組み事例をご紹介します。

ブルーカーボンに関わる2つの取り組み事例

ブルーカーボンとは、海藻などの海洋植物が、大気中から海洋に溶けた二酸化炭素を吸収して、光合成反応により作り出した有機炭素化合物を指します。
ブルーカーボンを作り出す海洋植物、ブル—カーボン生態系の二酸化炭素貯留速度は速いため、二酸化炭素吸収能力は極めて高く、人為起源二酸化炭素排出量の約30%を吸収すると言われています。
またブル—カーボンは無酸素状態の海底の泥の中に貯留されるため、バクテリアによる分解を受けず、二酸化炭素貯留期間は数千年にわたります。
ブルーカーボンは、この、高いCO2吸収能力と長いCO2貯留期間という2つの特徴のために、二酸化炭素の有望な吸収源として現在大いに期待を集めており、ブル—カーボン生態系の保護・育成の取り組みも進められています。

事例①横浜ブル—カーボン事業

横浜市では海洋資源を活かした温暖化対策プロジェクト「横浜ブル—カーボン」を立ち上げました。
この事業の一環として、市内企業・団体の「わかめ地産地消」や「海水ヒートポンプの導入」などによるCO2削減効果を用い、例えば2019年の「世界トライアスロンシリーズ横浜大会」で排出したCO2のオフセットをしています。
また、横浜ベイサイドマリーナの藻場を対象にしたブルークレジットの発行・販売も行っています。

事例②博多湾ブル—カーボンオフセット

福岡市では「福岡市博多湾ブル—カーボンオフセット制度」を設け、博多湾のアマモの藻場などが吸収・貯留するCO2の量をクレジットとして販売しています。このクレジットの販売収益を「博多湾NEXT会議」が行うアマモ場作りの活動など、博多湾の環境保全の取り組みに活用します。市民の方々はこのクレジットを購入することによって、日常生活でやむを得ず排出しているCO2量の埋め合わせができることになります。

グリーンカーボンに関わるオフセット事例

グリーンカーボンとは、陸上の森林などの植物が大気中の二酸化炭素を吸収して、光合成反応により作り出した有機炭素化合物を指します。
グリーンカーボン生態系のCO2貯留速度は遅いため、CO2吸収能力はあまり高くなく、人為起源二酸化炭素排出量の約12%を吸収すると言われています。
またグリーンカーボンは主として森林の土壌に貯留されるため、空気に触れて分解され易く、CO2貯留期間は短くて、数十年〜数百年程度になります。
とは言っても、グリーンカーボンも重要なCO2吸収源であることに変わりはなく、植林など、生態系の保護・育成の取り組みが進められています。

日本航空のオフセット事例

日本航空では、航空便の利用者が個人単位でカーボンオフセットができる仕組みを作っています。すなわち、熊本県小国町の間伐推進プロジェクト、またはインドネシアのリンパラヤにおける森林破壊防止プロジェクトのクレジットを乗客が購入してオフセットする仕組みです。

まとめ

以上に述べて来たことの要点をまとめます。

  • カーボンオフセットの意味は、自分が行ったCO2の排出を、他の場所で行われるCO2削減活動を利用して埋め合わせることです。
  • 埋め合わせる方法は、自らCO2削減事業に参加、または投資する方法と、クレジットを購入する方法の2つがあります。クレジットとは、CO2削減活動で得られた削減量を数値化して料金を付け、販売するものです。
  • カーボンオフセットが必要な理由は地球温暖化対策にあります。
  • カーボンオフセットの取り組み事例として、ブル—カーボンに関わる事例2つと、グリーンカーボンに関わる事例を1つご紹介しました。

参考文献