脱炭素とは?その意味や必要な理由、実現方法を易しく解説

脱炭素とは、人為起源のCO2排出量と吸収量を等しくさせて、排出を実質ゼロにすることです。

脱炭素が必要な理由は地球温暖化危機を回避するためです。脱炭素を実現する方法には、CO2排出の削減と吸収の促進があります。

脱炭素とは、二酸化炭素の排出と吸収を相殺させること

脱炭素とは、二酸化炭素の排出と吸収を相殺させること

現在、「脱炭素」という掛け声をよく耳にします。

この脱炭素の意味は人為起源の二酸化炭素(CO2)の排出量と海陸の植物などによる吸収量を等しくさせて、人為起源のCO2の排出を実質ゼロにすることです。

人為起源のCO2の排出を本当にゼロにすることは不可能なので、実質ゼロを目指すわけです。同じ意味の言葉として「カーボンニュートラル」という言葉もよく使われます。

カーボンニュートラルについては以下の記事で紹介しています。

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今、脱炭素が必要なわけ

現在、世界中で脱炭素を目指す取り組みが行われています。その背景にあるのは地球温暖化危機です。

地球温暖化危機

世界の平均気温は工業化が完了する以前(1850~1900年)に比べると2017年の時点で約1℃上昇しており、この上昇傾向は現在も依然として続いています。

そして既に現在、この温暖化がもたらす異常気象のために、世界の至る所で大洪水、大干ばつ、異常高温、海面上昇などの重大な被害が出ています。

このまま放置すると地球規模の生態系の破壊が危惧されています。

温室効果ガスの主成分は二酸化炭素

上記の地球温暖化の原因となっているのが温室効果ガスです。これは太陽からのエネルギーは通すが、地球から赤外線の形で出て行く熱は吸収してしまい、地球上の気温を上げる効果を持つ気体です。

この温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがありますが、主成分となるのは二酸化炭素で、全体の約76%を占めています。

このため二酸化炭素という言葉は、温室効果ガス全体を表す代名詞のようにも使われています。

パリ協定で今世紀後半の脱炭素を取り決め

温暖化危機の解決に向けて2015年に採択された「パリ協定」において、次のような長期目標が設定されました。

  • 世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つと共に、1.5℃に抑える努力を追求すること。
  • 今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること。

この目標を達成するために、日本も含めた世界の多くの国々が「2050年までに脱炭素を実現する」ことに向けた取り組みを進めています。

脱炭素を実現する2つの方法

脱炭素を実現するには、次の2つの方法が考えられます。

脱炭素を実現する方法1:CO2排出の削減

脱炭素を実現する方法の1つは、二酸化炭素の排出量を減らすことです。そのためには次の2つの道が考えられます。

再生可能エネルギーの利用の拡大

再生可能エネルギーとは太陽光、風力、水力など自然の力を基にしたエネルギーです。これらは、いくら使っても枯渇せず何度でも利用できるので、再生可能エネルギーと呼ばれます。

化石燃料を燃やして得るエネルギーはCO2を排出しますが、再生可能エネルギーはCO2を排出しません。

再生可能エネルギーを利用する手段としては、太陽光発電、洋上風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、水素エネルギーなどがあります。

省エネルギーの推進

CO2の排出を削減するもう1つの道は省エネルギー、すなわちエネルギーの節約です。

現在の技術では、エネルギー源としてカーボンフリーのものだけで賄うのは無理で、ある程度は化石燃料に頼らざるを得ません。

従って省エネルギーがCO2の排出を削減する手段として重要といえます。

日本における脱炭素の取り組み事例については以下の記事で紹介しています。

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脱炭素を実現する方法2:CO2の吸収の促進

脱炭素を実現するもう1つの方法は、大気中のCO2の吸収を促進させることです。

大気中のCO2の吸収には、自然作用を利用する吸収と人工的な手段を利用する吸収があります。

自然作用を利用する吸収:ブル―カーボンとグリーンカーボンの活用

これは植物の光合成を利用する方法です。植物は大気中のCO2を吸収して光合成反応により有機炭素化合物を作り出します。

海洋植物が作り出した有機炭素化合物が海底に貯留されたものがブル―カーボンです。ブル―カーボンを作り出すブル―カーボン生態系のCO2吸収能力は極めて高く、年間の人為起源のCO2排出量の約30%を吸収すると言われています。

陸上植物が作り出した有機炭素化合物が地中に貯留されたものはグリーンカーボンと呼ばれます。グリーンカーボン生態系は年間の人為起源のCO2排出量の約12%を吸収すると言われています。

現在、両生態系の破壊が進んでおり、両生態系を保護、再生する取り組みが世界の各地で進められています。

大気中のCO2の回収の人工的な手段:CCSとCCU

大気中のCO2を化学工学的な技術を用いて分離・回収する方法はCCSとCCUに大別されます。

  • CCS(Carbon dioxide Capture and Storage、二酸化炭素回収貯留)は、人工的な手段で分離回収したCO2を地中や海中などに長期間、安定的に貯留してしまう方法です。
  • CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization、二酸化炭素回収利用)は、人工的に分離回収したCO2を資源として利用し、いろいろな製品を作り出す方法です。

まとめ

以上に述べて来たこの要点をまとめます。

  • 脱炭素とは、人為起源のCO2排出量と植物などによる吸収量を等しくさせて、排出量を実質ゼロにすることです。
  • 脱炭素が必要とされる理由は、地球温暖化危機を回避するためです。CO2は地球温暖化の原因となる温室効果ガスの主成分です。
  • 脱炭素を実現する方法としては、排出の削減と吸収の促進の2つが考えられます。

参考文献